注目成分アディポネクチン必見

さまざまな効果が期待できる「アディポネクチン」をわかりやすく説明します!

  • アディポネクチンとは?

    「アディポネクチン」は脂肪細胞で分泌されるホルモンで、いわゆる善玉コレステロールに分類。「アディポ」は脂肪、「ネクチン」は接着を表す単語ですが、その名の通り、脂肪細胞から分泌されて血管にくっつく作用があります。
    1996年、大阪大学医学部分子制御内科の松澤佑次医師の研究グループによって発見されました。
    さらに2003年、その受け皿となる受容体を、東京大学大学院医学研究科糖尿病・代謝内科の研究室が発見。これにより、アディポネクチンが単なる分泌物でなく、ホルモンであることが証明されました。

  • アディポネクチンが
    効果を期待されること

    主なはたらきは、血管の老化を防いだり、傷の修復をサポートしたり、血圧の上昇を抑えたりすること。血管にはたらきかける力が強く、体への好影響が多いことで注目されています。

    アディポネクチンの3つのはたらきイメージ

    特に注目されているのは糖尿病への効果で、日本糖尿病学会は「アディポネクチンがインスリンの作用を高める効果を持っており、それによって糖尿病を抑える効果がある」と発表
    過去のマウス実験では、アディポネクチンを投与することにより血糖値や中性脂肪値の改善効果が見られ、マウスの生存率が上がったことなどもありました。
    アディポネクチンは未だ研究段階であり、そのすべての機能が解明されたわけではありません。しかし、複数の調査研究結果によって、糖尿病や動脈硬化、メタボリックシンドロームの予防・改善に役立つのではないかと期待されており、長寿やダイエットへのカギを握っているともいわれています。

    アディポネクチンが血管を守るイメージ

    【アディポネクチンのはたらき1】
    糖や悪玉コレステロールから血管を守る!

    アディポネクチンが傷を修復するイメージ

    【アディポネクチンのはたらき2】
    血管の傷を修復し、プラークの破裂を防ぐ!

    アディポネクチンが血管を広げるイメージ

    【アディポネクチンのはたらき3】
    血管を広げ、血流をスムーズにする!

  • アディポネクチンの
    分泌量について

    アディポネクチン分泌量の平均値は、男性が8.3μg/ml、女性が12.5μg/ml。正常値は4~30μg/mlですが、4μg/ml以下になると「低アディポネクチン血症」となってインスリンの分泌量が減るため、糖尿病やメタボリックシンドロームになる確率が上がるとされています。
    ちなみに、100歳以上の長寿の人を対象とした調査では、アディポネクチンの数値が平均して20μg/mlを超えるというレポートも。
    自分のアディポネクチン値がどのくらいか、検査のできる病院で定期的に数値を測定することをおすすめします。

  • アディポネクチンは
    増減する

    アディポネクチンは脂肪細胞で分泌されます。そのため、アディポネクチンの分泌量は、内臓脂肪の量が大きなカギになります。
    しかし、誤解しやすいのは「脂肪細胞の量とアディポネクチンの分泌量が比例するわけではない」ということ。
    肥満の状態、すなわち脂肪細胞が肥大・増加した状態だと、脂肪細胞同士が圧迫し合ってアディポネクチンの分泌を妨げるため、逆に分泌量が減ってしまうのです。特に、若い時に痩せていた人が加齢で太った場合、分泌量の減少が顕著になります。
    最も分泌量が増えるとされているのは、標準体型であるBMI値22前後のとき。脂肪細胞が適切な状態ではたらけるので、のびのびと分泌できるのです。
    内蔵脂肪を標準状態で維持するために、生活習慣の健全化や、アディポネクチン分泌促進に役立つサプリメントを摂取するといった取り組みを実践しましょう。
    参照元・引用元
    参考書籍:岡部正. "奇跡のホルモンアディポネクチン". 講談社.(参照 2007-02-21).

【医師監修】アディポネクチンのはたらきとは?

アディポネクチンって何?
ダイエットや病気に
効果が期待できる
3つの理由

アディポネクチンというホルモンにどのような効果が期待できるのか、日本循環器学会認定循環器専門医や日本糖尿病学会会員など多くの肩書を持つ中山桂司医師の監修で説明します。

監修医師

中山桂司先生

中山桂司先生

中山桂司医師
旭川医科大学医学部卒業後、大宮赤十字病院循環器科副部長を経て平成9年より医療法人中山クリニックを開業。平成27年時点で900件以上のFMD検査を実施しており、豊富な患者の検査データをもとに複合疾患を推察。医療雑誌の取材や解析データの提供など幅広い活動を積極的に取り組み、生活習慣病に関する情報発信を行っている。
資格・認定:日本循環器学会認定循環器専門医/日本内科学会認定総合内科専門医/日本糖尿病学会会員/日本糖尿病協会療養指導医/日本動脈硬化学会会員/医療法人中山クリニック
https://omiya-nakayama-clinic.com/

1.血管へのはたらき

アディポネクチンが血管を守り、
さまざまなリスクを低減!

アディポネクチンには、全身の血管にくっついて傷を修復する作用があります。具体的には、血管にダメージを与える悪玉コレステロールなどから血管壁を守るほか、プラーク(血管内にできるこぶ状の脂肪のかたまり)を覆ってその破裂を防いだり、傷ついた血管の修復をすると言われているのです。
そのため、アディポネクチンには、血液・血管を通して全身に発生するさまざまなリスク要因を低減することが期待されています。

【CHECK!】
血管のストレス状態や老化を
放っておくと動脈硬化に?

人体は老化や病気によって機能が弱まるもの。血管も例外ではありません。
代表的な血管の病気である「動脈硬化」を例に説明しましょう。
動脈硬化は血液中の糖や脂肪が血管の内壁に付着して血流を阻害し始めることから始まります。さらに、付着物が剥がれる際に内壁に与えるダメージを修復しようと、かさぶたを作り出す悪循環が重なり、やがて血栓が誕生。その結果、柔らかく弾力性に富んでいた血管内皮細胞が徐々に機能障害に陥り、硬化するのです。

2.血糖値を下げる
はたらき

アディポネクチンがインスリンの
正常なはたらきをサポート!

アディポネクチンは、インスリン抵抗性を引き起こす悪玉アディポサイトカイン(脂肪細胞分泌ホルモン)の産生と機能を抑制するため、インスリン抵抗性を改善し、適切な血糖値を保ちます。
このはたらきはマウス実験で確認され、学会でも発表されました。
日本糖尿病学会は2001年、アディポネクチンがインスリンの正常な分泌を促進するため、インスリン抵抗性を減らして血糖値を下げることを発表。
また、糖尿病にかかったマウスを使った実験では、アディポネクチン濃度が高まると血糖値が下がるという相関関係が確認されています。
同じような傾向は、国立がん研究センターが発表した論文にも登場。こちらは、5年間の調査を経て、アディポネクチン濃度が高い人ほど糖尿病リスクが低下するという研究内容です。

【CHECK1!】
血糖値をコントロールするインスリン。
うまく機能しないと大病に?

炭水化物は身体に必要な栄養成分。食べ物として摂った炭水化物は、体内でブドウ糖となって全身に送られます。このとき、血液に含まれる糖の値が、血糖値として示されます。
正常な状態では、血液中のブドウ糖は細胞・筋肉・脂肪などに取り込まれ、それらがはたらくエネルギーとして使われるもの。それを制御するのが「インスリン」です。
しかし、インスリンの分泌が減ったり、正常にはたらかなくなったりすると、血液中にブドウ糖がそのまま残ってしまいます。これがいわゆる「血糖値の高い状態」で、この機能不全の状態を「インスリン抵抗性」と呼びます。
血糖値の高い状態が継続してしまうと、糖尿病に繋がるだけでなく、網膜症や腎症、足の壊疽(えそ)、太い血管の動脈硬化といった大病を発症する要因にもなりかねません。

【CHECK2!】
「アディポサイトカイン」とは?

アディポサイトカインとは、脂肪細胞から分泌される様々な物質の総称です。「アディポ」は脂肪、「サイトカイン」は生体の生理活動に作用をもたらす生理活性物質のことを意味しています。アディポサイトカインと一口に言ってもその種類は様々で、悪い働きをする悪玉物質と良い働きをする善玉物質の2種類に大きく分けられます。
悪玉物質には血栓ができやすくなるPAI-1、血圧を上昇させるアンジオテンシノーゲン、レプチンなどがありますが、その一方で、善玉物質を代表するのが動脈硬化を防ぐ働きなどを持つアディポネクチンです。内臓に脂肪がたまるとアディポサイトカインの分泌に異常が起きてしまい、血液中の悪玉物質が増える反面、善玉物質であるアディポネクチンの濃度が低下。それにより動脈硬化が促され、糖尿病など生活習慣病を引き起こしてしまいます。

3.脂肪酸の燃焼を促す
はたらき

アディポネクチンが脂肪代謝を促進!

アディポネクチンの発するシグナルがアディポネクチン受容体経由で細胞に伝えられると、細胞内で糖と脂質の代謝が促進されます。また、アディポネクチンが増えるにつれて、HDLコレステロール(LDLコレステロールを回収)が増えるという分析も。これが、アディポネクチンにより脂肪が体内に溜まらず分解されるメカニズムです。
なお、アディポネクチンは内臓脂肪が標準の状態(標準体型)で最も活発に分泌されます。脂肪細胞が肥大した状態、つまり肥満体型では逆に分泌量が減ってしまうのです。
アディポネクチンを分泌させ、入ってきた脂肪酸を体内に残さず使い尽くす好循環を維持できれば、メタボリックシンドロームの予防や改善にも繋がるでしょう。

【CHECK!】
脂肪酸が増えると肥満まっしぐら?
中でもトランス脂肪酸に要注意

脂肪酸には複数の種類があり、それぞれ細胞を生成するのに役立ったり、エネルギー源になったりします。しかし過剰摂取すると、脂肪酸に含まれる脂質が体内に蓄積され、肥満や生活習慣病を発症する要因に。
脂肪酸の中でも要注意なのがトランス脂肪酸。摂り過ぎると、血中のHDLコレステロール(善玉)が減り、LDLコレステロール(悪玉)が増えます。その結果、高脂血症などの病気のリスクも高まるわけです。
トランス脂肪酸は一般的にマーガリンやファットスプレッド、それらを原料にしたドーナツやケーキなどに多く含まれています。これらの摂り過ぎには気をつけましょう。

アディポネクチンの
メディア掲載歴

アディポネクチンのはたらきや効果は、テレビ番組や新聞でも数多く紹介されてきました。その一例をご紹介します。

ためしてガッテン(NHK系)

2015年10月に放送された「長寿ホルモン大放出!動脈硬化メタボ糖尿病一挙解決SP」において、アディポネクチンが紹介されました。

「アディポネクチンはどんな人に多いのか?」「アディポネクチンを増やす方法」など気になる情報をわかりやすく解説。アディポネクチンが多くの人に知られるきっかけとなりました。番組内では、専門家が考案した、アディポネクチンを増やす「壁ネクチン体操」もレクチャーしています。


参照元:ためしてガッテン公式サイト
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20151028/index.html

ためしてガッテンのアディポネクチン回
画像引用元:ためしてガッテン公式サイト
http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20151028/index.html

名医とつながる!
たけしの家庭の医学(テレビ朝日系)

2014年2月に放送された「血管&脳を若く保つ秘密を解明!老けない身体を作る新事実SP」。慶應義塾大学医学部内科学教室老年内科の新井先生が、「超善玉ホルモン」としてアディポネクチンの分泌や作用について解説しました。

アディポネクチンは超善玉ホルモンと呼ばれており、高血圧や高血糖の症状の改善や動脈硬化防止の効果があると番組内で紹介されています。さらに番組で青森・東京・鹿児島に住む100歳以上のご長寿3名の血管年齢を調査したところ、アディポネクチンが驚くほどたくさん分泌されており、さらにその血管には動脈硬化の兆候や症状がほとんどないことがわかりました。


参照元:朝日放送公式サイト
https://www.asahi.co.jp/hospital/onair/140204.html

たけしの家庭の医学のアディポネクチン回
画像引用元:朝日放送公式サイト
https://www.asahi.co.jp/hospital/onair/140204.html

朝日新聞

NGO法人「オールアバウト・サイエンス・ジャパン」が、2013年10月31日の朝日新聞記事をもとに、アディポネクチンを紹介しました。アディポネクチンが糖尿病やメタボ改善に有効であるということが詳しくまとめられています。

記事では、東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の門脇孝教授らが証明した「アディポネクチンの欠乏がメタボの原因になる」という研究報告が掲載。糖尿病治療のスペシャリストと呼ばれている門脇教授の研究結果が報告され、アディポネクチンは多くの専門科から注目を浴びるようになりました。


参照元:NPO法人オールアバウトサイエンスジャパン
http://aasj.jp/news/watch/645onair/140204.html
※新聞社の元記事が消えているため、二次情報のアドレスとなります。

朝日新聞のアディポネクチン記事
画像引用元:NPO法人オールアバウトサイエンスジャパン
http://aasj.jp/news/watch/645

その原因、Xにあり!(フジテレビ系)

2017年5月に放送された回で、お茶の水健康長寿クリニックの白澤院長がアディポネクチンについて触れました。命に関わる2型糖尿病や心筋梗塞・脳梗塞を予防する働きがあり、「健康で長生きされている方々には、アディポネクチンが多い傾向がある」と紹介。

白澤院長の調査では、ご長寿で有名なぎんさんの娘たちは、血液1mlあたりのアディポネクチンが23.1〜34.8μg/mlと一般の方のアディポネクチンの平均値を大幅に上回っていることが明らかに。

また、番組内でも独自に芸能人のアディポネクチンの値を調査。放送当時81歳を迎えていた毒蝮三太夫さんも35.0μg/mlと、男性平均の4倍以上の値が出る結果になりました。


参照元:おさらい|その原因、Xにあり!-フジテレビ
http://www.fujitv.co.jp/sono_x_niari/backnumber170505.html

アディポネクチンを発見・研究している権威ある医師・研究者を紹介

松澤佑次医師

2003年から一般財団法人住友病院の院長を務めている松澤医師。1960年に大阪大学医学部を卒業後、大阪大学医学部分子制御内科学(旧第二内科)に入局し診療や教育、研究に従事するかたわら、より研さんを積むために米国カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学しました。その一方で、2000年4月から2002年3月まで同大学医学部附属病院の院長を務め、2003年には大阪大学の名誉教授となります。

そんな松澤医師は内分泌代謝学と動脈硬化学を専門とし、これまで動脈硬化につながる生活習慣病の患者を多く診察してきました。また、日本内科学会や日本動脈硬化学会など8学会の合同委員会で、「メタボリックシンドローム」の概念を提唱し、その診断基準を発表した人物としても知られています。

これらの専門分野と関係して国際動脈硬化学会の理事長も務めている松澤医師が、アディポネクチンを発見したのは1996年のこと。現在では、インスリン抵抗性の改善や抗動脈硬化作用があることから世界的に注目を集めているアディポネクチンですが、それを世界でいち早く見つけ、「アディポネクチン」と名前を付けたのが松澤医師の率いるグループだったのです。

松澤佑次医師の代表的な著書

タイトル 脂肪細胞の驚くべき真実―メタボリックシンドロームの科学
出版社 中央法規出版
発刊日 2008年5月
概要 メタボリックシンドロームについて、なぜウエストが診断基準になっているのか、どうして男性85cm・女性90cmなのかといった疑問に分かりやすく答えてくれる一冊です。疑問を解決しながら、メタボリックシンドロームが提唱される契機となった、内臓脂肪の驚きの働きについても分かりやすく説明しています。
タイトル メタボリックシンドローム 病態の分子生物学
出版社 南山堂
発刊日 2005年5月18日
概要 動脈硬化の発症を引き起こしえることが、国内で広く認識されているメタボリックシンドローム。本書では、生活習慣病の研究におけるエキスパートがメタボリックシンドロームの概念を提示し、糖尿病や高脂血症、高血圧など多方面への理解を深めてもらうことを目指しています。
タイトル メタボリックシンドロームリスク管理のための健診・保健指導ガイドライン
出版社 南山堂
発刊日 2008年4月1日
概要 2008年4月以降の特定検診・保健指導ではメタボリックシンドロームをリスクに応じ、情報提供レベル・動機づけ支援レベル・積極的支援レベルとレベル分けして指導を行ってきました。本書は、そのような特定検診を行う上で不可欠な考え方などを解説した、特定健診・保健指導のガイドラインの決定版です。
タイトル メタボリックシンドロームup to date
出版社 日本医師会
発刊日 2007年7月25日
概要 本書は、日本医師会生涯教育シリーズから刊行された同名の雑誌の書籍版。メタボリックシンドロームの総論にはじまり、疫学や病態、関連疾患、診断、治療、予防などの項目における知見を網羅しています。
タイトル メタボ時代の心血管疾患予防と管理 メタボリックシンドロームの疫学・予防対策
出版社 診断と治療社
発刊日 2013年11月30日
概要 北海道で行われた研究を軸に、メタボリックシンドロームの疫学と分子疫学について総括した一冊です。予防対策にも触れていて、心血管疾患を防ぐべく国が施行する特定検診・特定保健指導に関しても記載されています。

門脇孝医師

門脇医師は1978年に東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科研究室の責任者を務めている医師です。また、帝京大学医学部附属溝口病院・病態栄養学講座の教授や、一般社団法人日本糖尿病学会の理事長も兼任。2005年に東京大学医学部附属病院副病院長に就任した後、2011年には同病院の病院長となった経歴の持ち主でもあります。

メタボリックシンドロームや肥満症を専門とする門脇医師は、2型糖尿病研究の第一人者であり最先端の糖尿病研究の指導者としてガイドラインの策定にも参加。糖尿病を中心とした研究成果が国際的に高く評価されていて、その功績がたたえられ紫綬褒章や武田医学賞、日本学士院賞など数々の賞を受け取っています。

アディポネクチンの研究にも深く携わり、これまでに「アディポネクチンの抗糖尿病作用とアディポネクチン受容体の発見」などの研究を通して得られた成果を、予防や治療法の開発といった面に応用することで臨床の現場に大きく寄与してきました。また、現在では糖尿病と合併症の抑制が期待できる、「アディポロン」というアディポネクチン受容体作動薬の開発を進行しています。

門脇孝医師の代表的な著書

タイトル アディポネクチンとその受容体―抗生活習慣病ホルモンの全貌
出版社 フジメディカル出版
発刊日 2008年6月
概要 アディポネクチンとその受容体のシステム不全は、糖尿病といった生活習慣病の見逃せない原因です。本書では、それらに関する知見を網羅しまとめています。アディポネクチンにまつわる研究の第一線に立つ門脇医師の集大成とも呼べる一冊です。
タイトル 医学のすすめ すべては患者の幸せと医療の発展のために
出版社 西村書店
発刊日 2016年4月20日
概要 長寿ホルモンとして知られるアディポネクチンの受容体を発見するまでの、戦慄の日々と患者さんへの切実な思いが描かれた一冊。肥満・糖尿病にはじまり、健康長寿や糖尿病の画期的な新薬にまつわる情報がわかりやすく説明されています。
タイトル あなたがメタボになる理由
出版社 PHP研究所
発刊日 2008年7月25日
概要 現代人にとって健康を脅かす大きな問題の一つが肥満です。本書はアディポネクチンや脂肪細胞、肥満遺伝子といったキーワードを主軸に、ヒトが太ってしまう仕組みや科学的視点にもとづいたダイエット方法などの知見を解説。太りやすい理由をクリアに解き明かし、日本人の太りやすい体質から肥満研究の未来まで幅広く触れています。
タイトル 糖尿病最新の治療2016-2018
出版社 南江堂
発刊日 2016年2月2日
概要 最新情報と治療方針を簡潔にまとめた「最新の治療」シリーズから刊行された本書では、糖尿病の基本的治療から各病態、合併症があるケースの治療までを詳細に解説。糖尿病の最新治療法が見事に網羅されています。
タイトル 糖尿病学2018
出版社 診断と治療社
発刊日 2018年5月28日
概要 20編の論文によって、糖尿病に関連する基礎的研究や臨床・展開研究の結果を紐解いていく一冊です。日々向上していく糖尿病学における研究の課題にフューチャーし、専門的に解説しています。糖尿病研究者から一般臨床医まで一度は読んで欲しい情報が満載です。

アディポネクチンに注目したセミナー・論文

第3回健康セミナー
「メタボそして
アディポネクチンとは」

アディポネクチンが正常値の場合、血圧が下がったり、動脈硬化が発症しにくくなったりすることが研究により分かっています。

つまり、低アディポネクチン血症とか内臓脂防型肥満というのは、肝硬変、心不全、癌という私が学生の時に言われていた成人病全般に、この低アディポネクチン血症というのが関わっているということがわかってきました。(中略)ただ、一番大事じゃないかと思っているのは、アディポネクチンが障害部に集まってきて、組織を修復していくケースです。(中略)どっかに障害があると、それをいち早く何らかの理由で駆けつけて集まってきて、そこにボヤがあるときちんと火消しをする。こういう消防隊としての働きがあるんではないかと。アディポネクチンが低い状態の時っていうのは、どっかでこういうボヤが起こった時に、十分火を消すことが出来す、どんどん大火事になって臓器障害が進む。そういった働きをしている分子じゃないかということがわかってきました。

引用元:(PDF)第3回健康セミナー「メタボそしてアディポネクチンとは」[PDF]

アディポネクチンの値が低いと「低アディポネクチン血症」という状態になり、内蔵型肥満が進行して糖尿病やがんなどの成人病にかかるリスクが上昇。※低アディポネクチン血症と見なされるのは、血中のアディポネクチン値が4.0μg/ml以下の場合です。

アディポネクチンは、男性なら血中に8.3μg/ml、女性なら12.5μg程度あるのが普通。そんなアディポネクチンが減ってしまう主な原因は「肥満」です。

肥満になると血圧や血糖値が上昇するだけでなく、血液を送り出す心臓にも大きな負担がかかります。心臓に負担がかかると細胞の修復や血管のダメージ修復が追い付かないため、動脈硬化や心臓病など様々な病気・症状の原因に。つまり、低アディポネクチン血症になるだけで病気のリスクが高まってしまうのです。

ご飯を食べたり、お風呂に入ったりといった日々の活動で血糖値や脂質、酸化ストレスが上昇すると、体内細胞が損傷する原因になります。

アディポネクチンは本来そのような損傷が起こるごとに修復を行っているホルモン。アディポネクチン不足で修復が不十分な状態が続くと、次の損傷が起こるごとにダメージが積み重なり、結果的に大きな病気を発症することに繋がります。

※論文が発表された当時、アディポネクチンはたんぱく質の一種だと考えられていましたが、後の研究によってホルモンの一種だと判明しました。

「アディポネクチン」が糖尿病リスクを低下 インスリンの働きを強化

研究チームは、血中の「アディポネクチン」濃度と2型糖尿病リスクの関係を調査。5年後調査時の保存血漿を用いて、総「アディポネクチン」濃度、高分子量「アディポネクチン」濃度を測定し、その後5年間の糖尿病リスクとの関連を調べた。(中略)総「アディポネクチン」濃度がもっとも低い群(中央値 3.1μg/mL)を基準にすると、2番目、3番目、4番目の群の糖尿病のオッズ比は、それぞれ0.48倍(0.34-0.68) 、0.36倍(0.24-0.53)、0.24倍(0.15-0.38)であり、総「アディポネクチン」濃度が高いほど糖尿病リスクが低下することが明らかになった。
こうして血中の「アディポネクチン」濃度が高いほど糖尿病リスクが低いことが、日本人を対象とした研究でも確かめられた。

引用元:糖尿病ネットワーク

日本においては、近年まで血中濃度と糖尿病リスクの関連性を示す十分なデータがなかったため、アディポネクチンの有効性が実証されていませんでした。そこで研究チーム「JPHC」は、日本人を対象に濃度の違うアディポネクチンを投与して糖尿病リスクの関連性を5年間調査。その結果、喫煙や飲酒歴、年齢・性別など糖尿病にかかる他の要因を除いて、アディポネクチンの血中濃度が高ければ高いほど糖尿病の発症リスクが低いことが判明しました。

今まで海外では同じような研究・発表が行われていたものの、日本人を対象とした臨床事例は乏しく信ぴょう性が低いことが課題でした。しかし今回の調査で日本人を対象に数値的な実証を得ることに成功。研究信頼性と今後の研究・開発への期待が高まる結果となりました。

アディポネクチンの食欲作用は
血糖値の高低により反転する

アディポネクチンの摂食作用には、相反した報告があり、定まっていませんでした。(中略)本研究では、上記の矛盾する作用の報告が、それぞれ空腹と満腹の状態での実験に基づいていることに注目しました。摂食と満腹で大きく変動する血糖値・脳内グルコース濃度に着目し、低グルコース時と高グルコース時における、アディポネクチンの摂食行動への作用を比較検討しました。同時に、摂食制御に中心的役割を担っている視 床下部弓状核のプロオピオメラノコルチン(Proopiomelanocortin, POMC)ニューロンの電気活動に対する作用を比 較検討しました。本研究は、アディポネクチンの弓状核摂食抑制ニューロンに対する作用および摂食行動に対する作用が脳内グル コース濃度の高低により, 図のように反転することを発見しました。その結果、アディポネクチンは過剰な食欲および満腹を防ぐ役割を示します。

参照元:(PDF)自治医科大学地域医療オープン・ラボ「アディポネクチンの食欲作用は血糖値の高低により反転する」[PDF]

アディポネクチンが筋肉内で
運動と同様の効果をもたらす可能性を発見

アディポネクチンがその 1 型受容体を介して、(1)糖・脂質代謝改善に重要な AMP キナーゼと長寿遺伝子 SIRT1 を活性化し、(2)細胞内カルシウム濃度を上昇させることを発見しました。また、この 2つの経路により PGC-1α及びミトコンドリアの活性と量を両方改善させることを見出しました。これらは運動によっても活性化される経路であるので、アディポネクチンの 1 型受容体の活性化薬が、運動模倣薬となることが示唆されました。

参照元:(PDF)東京大学「アディポネクチンが筋肉内で運動と同様の効果をもたらす可能性を発見~アディポネクチンの 1 型受容体の活性化薬が、メタボリックシンドロームや 糖尿病の治療薬となることが期待~」[PDF]

糖尿病研究の権威・門脇孝氏を中心とするグループから、アディポネクチンに秘められた驚きの効果が発表されました。 メタボリックシンドロームや糖尿病を予防・治療するためには、日ごろからの適切な食事・運動を心がけることが重要です。食事・運動が体に良いということは、過去の研究により科学的に明らかにされています。

  • 運動を習慣化することで長寿遺伝子「SIRT1」と筋肉内の酵素「AMPキナーゼ」が活性化され、筋肉に糖が取り込まれるため脂肪の蓄積が防げる
  • 運動により筋肉細胞内の「PGC-1a」という物質とエネルギー代謝を担うミトコンドリアの活性化が促進され、糖代謝・脂肪代謝が改善

このような点から、運動をすることで体内の細胞が活性化し、高血糖や高脂血症、メタボリックシンドロームなどを未然に防ぐことができるのです。

東京大学が行った今回の研究では、アディポネクチンが細胞表面のタンパク質とくっつくことで、ミトコンドリアやPGC-1αの活性化を促し、増量させる効果を発揮することが判明。アディポネクチンの活性作用は運動と同様の効果をもたらすと認められました。

これを受け、運動が難しい高齢者や足腰に疾患を抱えている方にも病気の改善が期待できる新たな治療法の開発が望まれています。

こうした議論を背景に、自治医科大学は「空腹時と満腹時で作用が異なるのでは」という仮説を元に調査を開始。空腹時、満腹時の状態でそれぞれアディポネクチンが体内にどのように作用しているのか着目しました。

脳内に存在し、摂食抑制・促進の信号を発信する「POMCニューロン」とアディポネクチンの相互作用を比較検討したのが主な研究内容です。人間の体は、空腹時・満腹時で脳内のグルコースの濃度が変わるようにできています。 今回の研究で、アディポネクチンがこれらの濃度に応じて、それぞれ食欲を促進したり抑制したりと、作用を大きく反転させる機能が発見されています。これにより、拒食症や栄養失調を防ぐのと同時に、過剰な食欲や満腹を防ぐことがわかりました。

これをうけ、アディポネクチンは摂食障害の治療や、肥満によるメタボリックシンドローム、生活習慣病などにかかるリスクを回避できることが期待されており、投薬治療をはじめとした医療現場への導入が望まれているのです。

アディポネクチンと
コーヒーの関係

かつての研究では体重の「大幅な増加」が肥満の判断基準とされており、肥満が病気の直接的な原因になるとは考えられていませんでした。のちに、血圧・血糖値が上昇する「太り方」が病気を引き起こす一因になりうることが分かり、昭和61年の研究では「内臓脂肪型肥満」という概念が提唱されています。

平成2年以降は脂肪細胞の解析が進み、数々の悪玉コレステロールが発見されました。しかし、これと同時に善玉コレステロールの1種「アディポネクチン」も発見されています。

この研究から、「内臓脂肪・コレステロール=極端に減らすべきものではなく、適切に管理するべきものである」という考え方が誕生。平成16年には内臓脂肪型肥満症候群(メタボリックシンドローム)の判断基準が整備されています。

日本人でも効果が実証!?

コーヒーはもともと脂肪を燃焼させる効果がありますが、劇的な影響はないものと考えられていました。

一方、日本人男性600名を対象とした調査で、コーヒーの摂取量が多い人ほどアディポネクチンの血中濃度が高いことが判明。おそらくコーヒー中に含まれるポリフェノールがアディポネクチンの分泌を促していると考えられます。

「コーヒーを飲めば健康になる」とは決して言えませんが、体に何らかのいい作用が働くことは確かでしょう。肥満が気になっていて、かつコーヒーを飲むことに抵抗がない場合は、日ごろの生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。

参照元:ネスレ公式サイト「コーヒーと健康」

アディポネクチンに期待される効果

糖尿病

アディポネクチンには糖尿病の改善効果があることから、治療薬の開発が進められています。

糖尿病は血糖値の上昇を抑えるインスリンの分泌が追い付かないことで起こる病気。改善にはインスリン抵抗性を減らすことが重要です。アディポネクチンにはインスリン抵抗性を減らす効果があると言われ、注目を集めています。

動脈硬化

動脈硬化は加齢や生活習慣の乱れによって血管のしなやかさが失われた状態です。動脈硬化が起こると血液の循環が滞り、心臓病や心筋梗塞など内臓系の重病を引き起こしてしまう原因に。アディポネクチンには血管のダメージを修復する働きがあるため、高血圧や高脂血症などの症状を改善します。この働きから、動脈硬化のリスクを減らす効果が期待されているのです。

高脂血症

アディポネクチンには血液中の中性脂肪・コレステロールの消費量を向上させ、さらに善玉コレステロールを増やすとされています。

摂取することで余分な中性脂肪の吸収を防ぎ、コレステロールを適正値に調節。善玉コレステロールの増加によって悪玉コレステロールの働きが抑制されると言われています。

高血圧

アディポネクチンが高血圧に与える影響は研究されている途中ですが、アディポネクチンと血圧は影響しあうことが正式に判明。

アディポネクチンは血管内部に直接働きかけるため、増加することによって血管を緩めたり血圧を下げたりといった作用をもたらすことが報告されています。

肺疾患

アディポネクチンを用いた動物実験では、肺や呼吸器官の疾患が回復し正常に機能したという結果が。人間の体にも同様の働きが得られるかどうかは研究中ですが、肺をはじめとする呼吸機能に関する疾患の改善や、新しい治療方法の登場に期待が寄せられています。

がん

アディポネクチンにはがん細胞の活動を抑制するはたらきがあることが分かっています。マウスを用いた実験によると、乳がんや白血病などの一部疾患に対し、アディポネクチンを投与することで腫瘍の悪化が止まったことが判明。がんが活発化する原因とアディポネクチンとの関係については、今後の研究による解明が急がれています。

尿路結石

尿路結石は動脈硬化と発生要因が似ており、患者全体のうち40%が肥満であることから、生活習慣病の1つとして対策が急がれています。近年の動物実験で、アディポネクチンに尿路結石を改善する可能性があることが判明。尿路結石が起こるメカニズムを解明するための研究が進んでいます。

関節炎

アディポネクチンは肥満に伴う動脈硬化や糖尿病などの成人病に有効なだけでなく、関節炎を防ぐ働きもあります。関節炎の原因は悪玉コレステロールの増加によるもの。善玉コレステロールの一種であるアディポネクチンが増殖することで悪玉コレステロールが吸収され、症状が軽減・改善される効果が期待できます。

アディポネクチンが肥満に効くって本当?

脂肪燃焼に役立つアディポネクチンは研究成果からエネルギー代謝を促進する効果、つまり、運動に似た効果をもたらすことが明らかになっています。アディポネクチンは内臓脂肪を減らしてくれる善玉ホルモンですが、注意が必要な点も。多く分泌させるためには適度な内臓脂肪がないといけないため、痩せた状態・メタボ状態どちらもベストではないのです。分泌を促すためには健康状態をキープすることが必要。そんなアディポネクチンの詳しいメカニズムを解説していきます。

アディポネクチンの測定方法は?

超善玉ホルモンとしても有名なアディポネクチンの分泌量は、特殊な血液検査によって測定可能です。実施する病院はある程度限定されていますが、一般内科や総合病院の肥満・糖尿病専門科の外来でできることが多いでしょう。測定費用の相場は3,500~5,000円程度。人間ドックのメニューに含まれていることもあるため調べておくと良いでしょう。測定につきものな禁酒・断食といった制限がないので、気になったときにいつでも検査できますよ。

アディポネクチンは薬で摂取できるの?

体の老化・酸化防止に役立つアディポネクチン。しかし、食事だけでアディポネクチンに効果的な成分を摂取するのは大変です。そんな中、東京大学から薬でアディポネクチンを摂取できる可能性についての研究結果が発表されました。注目されている成分の名前は「アディポロン」。マウスを用いた研究により、この成分を体内に投与することでアディポネクチン受容体の作用を高め、肥満や2型糖尿病の改善に効果が期待できることがわかったのです。

アディポネクチンと糖尿病

アディポネクチンは糖尿病の改善に注目を集めるホルモン。すでにマウスでの実験において、アディポネクチンがインスリンの作用をサポートしていることが判明しています。高血糖症・高中性脂肪血症を患ったマウスに遺伝子組み換えで作ったアディポネクチンを補充したところ、症状の改善が見られたのです。アディポネクチンにより摂取した糖が正常にエネルギー変換され、血糖値の上昇抑制につながることがわかりました。このような調査結果は複数のレポートで公表されています。

アディポネクチンにまつわるデータや論文

数々の研究結果が報告されているアディポネクチンですが、その中で最も代表的と言える実験データが「血糖値の低下」に関わるものです。アディポネクチンを投与した結果、血糖値が大幅に低下する結果が得られました。また、「アディポネクチンと糖尿病の関係性」についての論文が発表されていて、血中のアディポネクチン濃度が高いほど糖尿病のリスクが低いことが明らかにされています。

アディポネクチンと血液

血管のダメージを修復する働きをもつアディポネクチン。血管に悪影響を及ぼす悪玉コレステロールから血管壁を守り、血管の健康を守ります。アディポネクチンの血中濃度が上がることで、血液の流れはスムーズに。血管に負荷がかかることでリスクが高まる、高血圧や臓器の壊死などを予防できることがわかっています。善玉であるHDLコレステロールの増加を促すことにより、血液をサラサラにする役割も。

アディポネクチンとメタボ

アディポネクチンは脂肪細胞で分泌されるホルモン。内脂肪が多いメタボ状態だと分泌量が減ってしまう、という研究結果が発表されています。関係性を明らかにするために1000人を超えるメタボ患者を調査したところ、アディポネクチンの量が4.0μg/ml未満の人はメタボにつながる危険因子を通常の人よりも多く持っていることがわかりました。これは内蔵脂肪の増加によって脂肪細胞に関わるホルモン分泌が異常を起こすためと言われています。

アディポネクチンとがん

アディポネクチンはいくつかの調査結果で、がん細胞の増殖を抑える効果もあると注目されているホルモンです。がん細胞はアディポネクチンを分泌する脂肪細胞に囲まれているものが多かったり、いくつかのがんの死亡率がBMIと関連があると言われていたりと、脂肪細胞と相関性があることが判明。直接アディポネクチンががん細胞を攻撃するのではなく、アディポネクチンによるメタボ抑制や動脈硬化の改善などを介してがん細胞にも効果が見られると考えられています。