アディポネクチンの測定方法は?

血液検査でアディポネクチンが測定できる

超善玉ホルモンともいわれるアディポネクチンは、脂肪から分泌されるホルモンの1種。その分泌量(血中の値)は、特殊な血液検査で測定することができます。

対応数は少ないが、一般的な内科医でも
肥満・糖尿病専門外来でもOK

アディポネクチンの血液検査は2005年頃から全国の医療機関で徐々に浸透してきていますが、未だに実施できる病院が限られています。かかりつけにしている内科医で測定したい場合は、事前に「アディポネクチンの分泌量を調べる血液検査」に対応しているか確認しましょう。

もし近所の医療機関で心当たりがない場合、総合病院の肥満・糖尿病専門科の外来を受診してください。

アディポネクチンの測定は自費診療

アディポネクチンを測定する血液検査は自費診療になります。医療機関により差もありますが、相場は3,500~5,000円程度といったところ。

人間ドックのメニューに組み込まれているケースもあるので、検査内容を今一度見直してみるのもいいでしょう。

アディポネクチン測定には
禁酒・断食などの制限は不要

ちなみに健診や人間ドックの場合、前日は禁酒といった制限があるのが一般的ですが、アディポネクチン測定だけなら特に制限はありません。風邪をひいた状態でもアディポネクチンの数値には影響しないといわれています。

メタボの人はまめに血液検査を!

なお、メタボ傾向のある人なら、年1回の人間ドックや健診とは別に、定期的に血液検査をしているかもしれません。

血糖値や高脂血症、コレステロール値など生活習慣病に関連する数値の推移をチェックするのに血液検査をするのはごく当たり前。個別ケースで異なるため一概にはいえませんが、治療として定期的な血液検査をする場合、保険適用になることもあるので、その違いは医療機関に確認しておくことをおすすめします。

アディポネクチンを測定できるクリニック

クリニック名ナガヤメディカルクリニック
所在地〒164-0012 東京都中野区本町3-29-10ヴェルティ中野 2F
診療時間10:00~12:30/14:30~19:00
休診日木曜日・土曜日・祝日(日曜日は診療)
交通アクセス都営大江戸線/東京メトロ丸ノ内線「中野坂上駅」2出口より徒歩7分
電話番号03-5333-4086
価格3,700円(税込)
公式サイトURLhttps://nagayamedical.com/index.php#3
クリニック名北里大学北里研究所病院
所在地〒108-8642 東京都港区白金5-9-1
診療時間平日 8:20 ~11:30/12:50 ~16:30
土曜日 8:20 ~11:30
休診日日曜日・祝日・第4土曜日
交通アクセス東京メトロ日比谷線「広尾駅」1出口より徒歩10分
電話番号03-3444-6161
価格5,400円(税込)
公式サイトURLhttps://www.kitasato-u.ac.jp/hokken-hp/
クリニック名山王メディカルセンター
所在地〒107-0052 東京都港区赤坂8-5-35
診療時間平日9:00~12:00/13:30~17:00
休診日土曜日・日曜日・祝日
交通アクセス都営大江戸線/東京メトロ銀座線/東京メトロ半蔵門線「青山一丁目駅」3出口より徒歩3分
電話番号03-3402-5581
価格23,760円
公式サイトURLhttp://www.sannoclc.or.jp/mc/

男女それぞれの
アディポネクチンの平均値

アディポネクチンの平均値は、男性が8.3μg/ml、女性が12.5μg/mlとされています。もし測定数値が4μg/ml以下だと「低アディポネクチン血症」とされ、アディポネクチンの働きが弱くなることから、糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクが高まってしまうといわれています。測定の際の目安にしてください。

アディポネクチンが低い人はどうなってしまうのか?

低アディポネクチン血症が続くと、血糖値や高血圧状態を生み出しやすくなるといわれています。血糖値や高血圧状態が続くと、血液中の中性脂肪が多い状態になりやすく、メタボリックシンドロームやがんになる可能性も。他にも糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を誘発してしまう恐れもあります。そのため、低アディポネクチン血症の人やその疑いがある人は、予防に向けた食事や生活習慣の改善を心がけてください。ただ、研究データによると低アディポネクチン血症と診断された患者さんは、両親の遺伝子が関係している可能性があることが分かっています。

”低アディポネクチン血症と判定された女性(7人)のうち4人は、両親のどちらかあるいは両親ともがんでした。低アディポネクチン血症と判定された男性(32人)のうち14人は、両親のどちらかが心筋梗塞を起こしていました。これらの測定結果からみますと、アディポネクチンが少ない人は女性の場合はがんになりやすい遺伝体質ではないか、男性の場合は心筋梗塞に代表される血管の事故を起こしやすい遺伝体質ではないか、ということがいえると思います。”

引用元:「岡部正. 「奇跡のホルモンアディポネクチン」 講談社. 2018/6/12引用」

上記の研究結果は、岡部医師が在籍しているクリニックの統計上のデータになります。これまで、アディポネクチンの値と両親の病気との関係を示した研究はありません。そのため、今回のデータはアディポネクチンの値と遺伝体質に因果関係があると推測できることを示した唯一のデータといわれています。断定はできませんが、両親のアディポネクチン値が関係している可能性もあるのです。

アディポネクチンが高い人は安心?

体内のアディポネクチン値が、男性が8.3μg/ml、女性が12.5μg/mlを上回っている人は、アディポネクチンが正常に分泌されている証拠です。ひとまずは安心といえますが、この状態が長く続くとは限りません。偏った食生活や運動をしない悪い生活習慣があれば、アディポネクチン値が基準値よりも下がってしまう可能性があります。アディポネクチン値を基準値で維持するためにも、悪い生活習慣は改善しましょう。アディポネクチン値は、将来のがんや糖尿病などの遺伝体質があるかを知るきっかけになります。医師もアディポネクチン値の数値をもとに、食生活や運動習慣のアドバイスがしやすくなるのです。そのため、年に1回は人間ドッグや健康診断にてアディポネクチン値を検査するのをおすすめします。

アディポネクチンの値は高ければ高いほどいいの?

アディポネクチンの量は高いほど良いのでしょうか?文献や論文から明らかにしていきます。

長寿の人はアディポネクチン値が高い!

岐阜大学院医学研究科総合態内科の研究によって、長寿の人たちはアディポネクチン値が高いことがわかっています。この調査は、男性が全国で2位という長寿地域である岐阜県高山市国府地区と、対象となる同県山県市美山地区に住む人たちを比較したものです。美山地区は、国府地区(平均寿命は男性80.4歳、女性85.9歳)より平均寿命が約3歳短い地区です。

両地域の住民のアディポネクチンの値を測定した結果、国府地区の人たち(133人)のアディポネクチン値(8.8µg/mg)は美山地区の人たち(69人)のアディポネクチン値(7.2µg/mg)より高かったのです。

岡部正. 「奇跡のホルモンアディポネクチン」 講談社. 2018/6/12引用

岐阜大学大学院の医学研究科総合態内科では、「高齢者の中でも元気な人ほどアディポネクチン値が高い」と仮定。それを証明するために、ご長寿さんと、周辺地区の平均寿命に届かない方が多い集落に住む方々のアディポネクチン値を比較しました。それが研究の対象となる岐阜県高山市国府地域に住む人、そしてその対照となるのは国府地域より平均寿命が3歳ほど短い美山地区に住む人です。

この方々に協力をいただいて確認したところ、国府地域に住む人の方が、美山地区の住む人よりも平均アディポネクチン値が1.6µg/mg高いという結果になりました。

つまり、この実験では、高齢者のうち元気な人ほどアディポネクチン値が高いという仮説が正しいことを示しています。

また、慶応義塾大学医学部老年内科が東京都内に住む百寿者(100歳以上の超高齢者)の健康状態をしらべ、その特徴を分析したものですが、そこに健康長寿とアディポネクチンとの関係が述べられています。

調査は100歳以上の女性(百寿者)66人と若い女性66人を対象都市、身長・体重の補正をして公平な条件としたうえで、血液中のアディポネクチンの量を比較したものです。その結果、百寿者の平均血中アディポネクチンの平均値(20.3µg/mg)は若い女性の平均値(10.8µg/mg)より約2倍も高い(多い)数値を示しました。

引用元:岡部正. 「奇跡のホルモンアディポネクチン」 講談社. 2018/6/12引用

慶応義塾大学で行われた実験では、長寿の人ほどアディポネクチン値が高いという結果が得られています。その差はなんと約2倍にも!

この実験結果は、アディポネクチン値が高いほど長寿になる確率が高いことを明らかにしています。

アディポネクチン値は多いに越したことはありません。老化防止効果だけではなく、血管の修復・呼吸機能サポート・血糖値の改善・動脈硬化の対策などさまざまな健康効果があるので、多い方が長生きに繋がるという考えはあながち間違いでは。

「高分子量アディポネクチン」の数がカギ?

アディポネクチンは血中において,高分子量,中分子量,低分子量のすくなくとも3種類以上の多量体構造をとって存在する.高分子量アディポネクチンは血中で300KDa以上の12〜18量体から形成されている.高分子量アディポネクチンを特異的に形成できなくなる変異を有するヒトは糖尿病になることが報告されており,さらに肥満・インスリン抵抗性においては高分子量のアディポネクチンがとくに低下している.

引用元:PierOnline 「医学の歩み-高分子アディポネクチン」(2017/10)2018/6/12引用

この論文では、アディポネクチンには高・中・小分子量の多量体構造があること、特に「高分子量アディポネクチンが脂肪燃焼の促進・血管修復・老化防止などの健康効果作用を起こしている」ことが読み取れます

多量体構造とは、基本となる分子(単量体)が、血中で複数結びついた形で存在していること。糖で例えると、グルコースが単量体、デンプンが多量体です。結合している単量体の数で高分子・中分子・小分子に分けられ、結合している分子が多いものを高分子、少ないものを小分子と呼びます。

中でも私たちの体にとって、重要なのは「高分子量アディポネクチン」。高分子量アディポネクチンが形成できなくなることが糖尿病の発症に繋がると報告されています。さらに、肥満・インスリン抵抗性がある人は高分子量アディポネクチンが特に低下していることも明らかにし、高分子量アディポネクチンの重要性を示しました。

高分子量アディポネクチン比は総アディポネクチンに比べ,インスリン抵抗性の予測に有用である.高分子量アディポネクチンはチアゾリジン誘導体投与によるインスリン抵抗性の改善とよく相関し,またメタボリックシンドロームの鍵となる内臓脂肪蓄積・インスリン抵抗性・糖脂質代謝と有意な相関を示し,メタボリックシンドロームの診断において重要なバイオマーカーとなる.

引用元:PierOnline 「医学の歩み-高分子アディポネクチン」(2017/10)2018/6/12引用

また、同論文では、総アディポネクチンと比べるとインスリン抵抗性の予測・メタボリックシンドロームの診断においても、高分子量アディポネクチンが有用な指標になると明らかにしています。

病院でアディポネクチン値を測定する際には、総量だけではなく、高分子量アディポネクチンの血中濃度にも注目してみてください。血中の糖をコントロールできなくなるインスリン抵抗性の予測や、メタボリックシンドローム発症の診断に利用することができます。ただし、糖尿病腎症などの腎機能障害があるときはそもそも高値になりやすいので、その点は注意してくださいね。

参照サイト・書籍

岡部正. "奇跡のホルモンアディポネクチン". 講談社.(参照 2007-02-21).

PierOnline 「医学の歩み-高分子アディポネクチン」(2017/10).