アディポネクチンが肥満に効くって本当?

運動に近い効果も!?
アディポネクチンによる脂肪燃焼

アディポネクチンは脂肪燃焼に役立つホルモンで、それは運動と同じような効果をもたらすとされています。

東京大学医学部の研究チームがメカニズムを解明

2010年に東京大学医学部の研究チームが筋肉細胞の代謝のメカニズムを調べたところ、細胞表面のタンパク質にアディポネクチンが結びつくことによって、ミトコンドリアの活動が向上することが解明されたのです。

なお、ミトコンドリアはエネルギー代謝に関わる小器官。つまり、アディポネクチンによって結果的にエネルギー代謝が促進されるというわけです。

この研究結果は科学誌「Nature」にも掲載されました。

アディポネクチンの分泌量と
肥満との関係

アディポネクチンが脂肪細胞を燃焼させて内蔵脂肪を減らすはたらきがあることは、研究成果からも間違いのないところ。

ただし、注意しなければならない点もあります。そもそもアディポネクチンは脂肪から分泌されるホルモンだということです。

アディポネクチンがより多く分泌されるのは、内蔵脂肪細胞が標準的な大きさの場合。つまり適度な脂肪細胞がある標準体型(BMI値22程度)の状態です。

痩せた状態で内臓脂肪が小さくなってしまうとアディポネクチンの分泌量も減ってしまいます。脂肪が少ないのだから問題ないと思うかもしれませんが、血管の修復作用といったアディポネクチンのはたらきを考えると、一概に内臓脂肪が少ないことがベストともいえません。

一方、内臓脂肪が肥大化したメタボ状態でも、アディポネクチンの分泌量は減ってしまうのです。細胞が肥大化すると悪玉ホルモンの分泌が増えてしまい、善玉ホルモンであるアディポネクチンの分泌が抑制されてしまうという、身体のメカニズムによるものです。

善玉ホルモンであるアディポネクチンの分泌を促進するためにも、健康状態を維持しておく必要があるわけです。

アディポネクチンと肥満についての論文

アディポネクチンは良好な健康状態が維持されているからこそ、分泌されるホルモンだということがわかりました。では、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。

脂肪細胞から作られるアディポネクチン

アディポネクチンは、生体の糖代謝を中心としたエネルギーバランスをはじめとして、糖質代謝調節機能や血管内皮調節機能、中枢での摂取増強作用など全身の代謝恒常性を制御するアディポサイトカインであることが、最近次々と報告されている。

引用元:門脇孝. 「アディポネクチンとその受容体」 フジメディカル出版.

脂肪細胞は大きくなると、形質が大きく変化すると考えられています。その変化のひとつとして挙げられるのが、「生理活性物質」の分泌。脂肪細胞と他の臓器とのつながり・連絡を担うシグナル分子(内分泌因子)の役割をもつ生理活性物質が、脂肪細胞から分泌されるようになります。

その生理活性物質の一つである「アディポサイトカイン」には善玉と悪玉があり、身体に良い働きをする善玉が「アディポネクチン」です。

アディポネクチンは、インスリンの感受性を向上させる働きや、エネルギー代謝を促進させる能力を持ちます。

大きすぎては悪影響を及ぼす脂肪細胞

生体の糖代謝において、脂肪細胞はそのサイズが病的に肥大化した場合には、TNFα、MCP-1、レジスチンなどのインスリン抵抗性を惹起するアディポサイトカインの増加のみならず、インスリン感受性を亢進させるアディポネクチンの低下によって、肝臓や骨格筋などの他臓器においてインスリン抵抗性が増悪すると考えられている。

引用元:門脇孝. 「アディポネクチンとその受容体」 フジメディカル出版.

研究が進み、現在では脂肪細胞のサイズによって、アディポネクチンの発現・分泌が制御されることが明らかになっています。

いわゆる「太っている」ときは、余分なエネルギーを蓄えた脂肪細胞が肥大している状態。肥大化した脂肪細胞は、細胞の質が変わってしまい、インスリン抵抗性をもつアディポサイトカインの悪玉を増加させます。そのうえインスリン感受性を向上させるアディポネクチンの減少を引き起こし、臓器のインスリン抵抗性が悪化するという負の連鎖が繋がってしまうのです。

インスリン感受性が低くなるということは、インスリンが正常に分泌されていても、標的の臓器でキチンと作用しなくなるということ。高血糖状態や糖尿病・高血圧に繋がると考えられています。

脂肪細胞が適正なサイズになると
アディポネクチンが分泌される

逆に、脂肪細胞が小型化するとインスリン感受性が亢進することが観察されており、この作用の一部がアディポネクチンによることが明らかとされている。

引用元:門脇孝. 「アディポネクチンとその受容体」 フジメディカル出版.

肥大化すると質が変わってしまう脂肪細胞ですが、逆に小さくなると、アディポネクチンによってインスリン感受性が回復することが観察されています

脂肪細胞が無いとアディポネクチンは作られませんが、大きすぎても悪影響を及ぼす原因に。

アディポネクチンは適正な脂肪細胞サイズのときに正常に分泌されるということなので、太りすぎの人は体型を整えて分泌量を増やしましょう!

肥満に関する治療をしたい

アディポネクチンの効果でだけで脂肪細胞を燃焼させて内蔵脂肪を減らすはたらきがあることは分かったと思いますが、それでも追いつかない人もいます。

ダイエットは自分でできるものですが、続かない(失敗してしまう)人が多いのも事実です。

そこで肥満外来という選択肢もあることを覚えておいてください。

肥満は自分が悪いわけではないのです。クリニックや専門の人と一緒に解決していくのも一つです。

下記サイトは東京で肥満外来を行っているクリニックがまとまっていましたので、確認してみてください。

対象サイト:東京で治療ができる肥満外来クリニック

参考元・引用元の書籍・論文

アディポネクチンとその受容体(フジメディカル出版)

奇跡のホルモンアディポネクチン(講談社)