アディポネクチンと肺疾患

肺疾患など呼吸機能に期待される
アディポネクチンのはたらき

大阪大学の研究グループが行ったマウス実験によると、アディポネクチンが慢性閉塞性肺疾患に対して有効だと確認できたという結果が出ています。詳しく説明します。

アディポネクチンが衰えていた
呼吸機能を正常化

実験で使用したマウスは、遺伝子操作によってアディポネクチンが分泌できないようにしたもの。すると、加齢とともに慢性閉塞性肺疾患と同じような症状が表れたところにアディポネクチンを補完。

これによって肺のはたらきが正常となって、20~30%程度衰えていた呼吸機能も正常な状態に戻ったとのこと。人間に同様の効果があるかは、これからの調査となっています。

肺の機能をサポートする仕組みは
今後解明を

アディポネクチンのはたらきとしては、血管のダメージ修復や脂肪燃焼、エネルギー代謝に役立つとされていますが、この研究においては呼吸機能など肺のはたらきへの影響も期待できます。

また、アディポネクチンは喫煙や肥満によって分泌量が減少するともいわれ、その効果や相関関係などは今度のより深い解明が待たれるところです。

メタボと呼吸機能に影響する
肺疾患との関係

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは、喫煙や汚染された空気を長年吸い続けることなどによって起きる肺気腫や気管支炎の総称のこと。症状としては咳が続き、息切れやたんが慢性化します。

これらは一種の肺の生活習慣病とも呼ばれ、抜本的な治療方法はないとされています。

加齢で衰えた肺は
慢性閉塞性肺疾患に似た症状も

これとは別に、加齢に伴って肺の機能が衰えることはわかっています。その結果として慢性閉塞性肺疾患と同じような症状が出ることがあります。

肺の血管ダメージに対する
アディポネクチンのはたらき

これらの肺疾患については、肺の血管がダメージを受けていることが要因ともされています。

そこで、メタボリックシンドロームや糖尿病の予防や対策が期待されるアディポネクチンというホルモンが、肺疾患にも効果があるのではないという調査研究がなされているという状況です。

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そもそも肺疾患はどんな病気?

肺疾患の症状と原因

肺の生活習慣病として近年注目されているのが「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」という病気です。

COPDとは「慢性気管支炎」「肺気腫」と呼んでいた病気の総称のこと。たばこの煙に含まれている有害物質を吸い込むことで発症し、肺や気管支にダメージを与えてしまう病気です。別名「タバコ病」と言われています。

COPDの主な症状は、咳や痰など。さらに症状が進行すると、重度の息切れで日常生活に支障をきたしてしまいます。最悪のケースでは命を落とすリスクもあるのです。

肺疾患の診断基準

長期間喫煙をしていて、「慢性的に咳や痰が出る」「呼吸がしにくい」という方は、COPDの疑いがあります。その場合、スパイロメトリーという呼吸機能の検査が必要です。

スパイロメトリーでは「肺活量」と「1秒率」という2つの測定を行ないます。肺活量は、空気をおもいっきり吸って、おもいっきり吐いた時の空気量を調査。年齢と身長で計算された正常値と比べて数値を出します。1秒率は、1秒あたりの吐き出す呼吸量と一気に息を吐いた時の空気量「努力肺活量」で割った値です。スパイロメトリーで肺活量「80%未満」、1秒率「70%未満」の方はCOPDと診断されます。

肺疾患の治療法

COPDの主な治療法である禁煙と薬物療法についてまとめています。

禁煙

COPDを治療するのであれば、禁煙は避けて通れません。病気を治すというよりも「タバコをやめる」という意識・行動が重要です。

ニコチンパッチやニコチンガムを利用した「ニコチン代替療法」や医師の指導を受けてタバコをやめる「禁煙外来」を活用しましょう。

薬物療法

COPDの薬物療法では、気管支拡張薬の利用がメインです。気管支を広げることで呼吸を楽にすることができます。他にも、痰を少なくする「痰調整薬」、感染症を防止する「抗生物質」などを使用。症状の悪化が繰り返される場合は、吸入ステロイド薬を使って治療を行ないます。

もっとも効果の高い気管支拡張薬「長時間作用性抗コリン薬」は、前立腺肥大の排尿困難症状を悪化させるリスクがあるので注意しましょう。

用語説明

長時間作用性抗コリン薬

1回吸入するだけで、薬の作用が24時間持続。長期的に使用することで、病気の進行を抑えるだけでなく、死亡率を抑える効果も報告されています。

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この記事を作るのに参考にした文献・サイト

アディポネクチンの
様々な病気・症状への効果