【論文】アディポネクチンと糖尿病の関わりを示す論文まとめ

多様な視点でわかる、
アディポネクチンと糖尿病に関する論文

インターネット上で公開されている論文の中には、アディポネクチンと糖尿病に関するものが多数存在しています。そこから特に注目したい内容をピックアップしました。それぞれの概要をわかりやすく解説します。気になる方はぜひ全文を読んでみてください。

アディポネクチンの
血糖値関連のデータも
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アディポネクチン濃度と
糖尿病リスクの関係

血中のアディポネクチン濃度と2型糖尿病リスクがどのような関係にあるのかを調査しました。5年後調査時の保存血漿を用いて、総アディポネクチン濃度、高分子量アディポネクチン濃度を測定し、その後5年間の糖尿病リスクとの関連を検討しました。(中略)先行研究と一致して、血中アディポネクチン濃度が高いほど糖尿病リスクが低い、というアディポネクチンが糖尿病に予防的であることを支持する結果が、本研究でも得られました。

引用元:国立がん研究センター「アディポネクチン遺伝子多型と2型糖尿病罹患との関連について」http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7900.html(2017/5/24)2018/5/8引用

5年間にわたって、アディポネクチンの血中濃度と2型糖尿病リスクとの関係性についての調査を実施。その結果、アディポネクチン濃度が高いほど糖尿病リスクが低いことを確認しています。
また、アディポネクチン遺伝子の配列には複数の型(TT、TG、GG)が存在しており、それに応じて糖尿病発症のリスクも増減するとも言われていたのですが、この研究ではいずれの多型も、高分子量アディポネクチン濃度と統計学的に明かな関連は見られなかったと報告されています。

参照元

アディポネクチンとレプチンの
同時投与によるインスリン抵抗性への効果

アディポネクチン不足のマウスを使った実験で、インスリン抵抗性や高中性脂肪血症となっていたマウスにアディポネクチンを補充。それによってインスリン抵抗性や高中性脂肪血症の改善が確認されました。

さらに、レプチンというホルモンをアディポネクチンと同時投与したところ、改善状況はほぼ完全といっていいほどになりました。レプチンはアディポネクチン同様、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、エネルギー代謝に役立つことが知られています。

参考元:日本医学会サイト|4.脂肪細胞によるインスリン抵抗性の分子機構
http://jams.med.or.jp/symposium/full/128034.pdf

アディポネクチン分泌をサポートする
成分を含んだ焙煎コーヒーの成分と
糖尿病の予防効果

焙煎コーヒーに含まれる成分のうち、2型糖尿病の予防効果が期待できる成分について解説している論文です。「ニコチン酸」が糖尿病リスクを軽減しているとする記述があり、そこにアディポネクチンの分泌をサポートするはたらきもあるとされています。

参考元:J-Stage|コーヒーの糖尿病予防効果を説明する栄養成分の薬理学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/127/11/127_11_1825/_pdf

非定型抗精神病薬による糖尿病リスクと
アディポネクチンの変化

抗糖尿病作用、抗動脈硬化作用、抗炎症作用などを示し、脂質代謝異常により減少する高分子量アディポネクチン(HMWアディポネクチン)や増加するとインスリン抵抗性を助長するレチノール結合蛋白4(RBP4)を指標として非定型抗精神病薬であるオランザビンとブロナンセリンの影響を統合失調患者において観察した。(中略)オランザビン投与初期にHMWアディポネクチンは減少し、RBP4は増加した。ブロナンセリンはこれらに対して大きな影響は示さなかった。

引用元:昭和学士会誌 第76巻 第4号〔459-468頁,2016〕「非定型型抗精神病薬による肥満および糖尿病発症リスクの特定,予測に関する研究」https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshowaunivsoc/76/4/76_459/_pdf(2016/2/16)2018/5/10引用

昭和大学医学部精神医学講座、昭和大学薬学部薬物療法学講座・臨床薬学部門、慶応義塾大学医学部精神・神経科学教室、昭和大学薬学部薬物療法講座・遺伝解析学部門が合同で研究・発表した論文で、非定型抗精神病薬である「オランザピン」と「ブロナンセリン」の影響を調べています。

「オランザピン」は、「ジプレキサ」という名称で発売されている抗精神病薬(非定型抗精神病薬)です。さまざまな受容体に作用するため、MARTAに分類。統合失調症の治療薬として開発されましたが、意欲減退や認知機能などの改善のほか、気分の安定にも効果があるとされており、うつ病の治療にも使われています。

「ブロナンセリン」は、「ロナセン」という名称で販売されている抗精神病薬。ドパミンとセロトニンをブロックするブロナンセリンはSDAに分類されます。抗精神病薬に多い体重増加や眠気といった副作用が少ないのが特徴です。

「HMWアディポネクチン」は高分子量アディポネクチンを指す言葉で、肥満や低インスリン性の場合には数値が下がることが知られています。「RBP4」はインスリン抵抗性を助長するレチノール結合蛋白4のことです。

この研究では、「オランザピン」は初期段階でアディポネクチンの平均値を下げた後、継続使用で回復したことが確認されました。一方、「ブロナンセリン」はアディポネクチンの平均値を増加させるはたらきが見られたようです。

抗精神病薬選びは専門家である医師や薬剤師とよく話し合う必要がありますが、オランザピンには糖尿病リスクもなくはないことを知っておくとよいかもしれません。

参照元

アディポネクチンは研究途上のホルモン

上記でご紹介したのはごく一部の論文です。アディポネクチンは現在も各地で研究され、新たな発見がなされています。

それらの研究の先に、糖尿病だけでなく他の病気・症状を抑えるはたらきが見つかるかもしれません。今後も要注目のホルモンですね。

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アディポネクチンの
様々な病気・症状への効果